- 育休明けすぐでも、退職ってできる?会社にはいつ、なんていえばいい?
- 育休中だけど、退職を検討中。手続きはどんなものがある?
- 退職したら失業保険ってもらえる?保育園は?
色々悩んだ結果、「育休中に退職」「復帰すぐに退職」を選択することもありますよね。
私ははじめての育休で「復帰後3ヶ月」で退職を選択。
退職するにあたっては、「いつ」「どのタイミング」で「なんて言うか」などを整理。
その結果、コツコツと準備することで無事に退職できました(有給も消化)。
そこで、今回は育休明け3ヶ月で退職に成功した経験から、育休中や育休明けの退職に向けて考えておくべきことをご紹介します。
- 退職は自由意志でいつでもできるが、「退職」するデメリットも大きい
- 「退職」した後、転職するつもりなのかどうか、を見据えてから行動する
これを考えてから「退職」しないと、育休手当や失業保険の給付で損する場合があります。
退職するにしても、あとから「こんなはずでは…」と後悔したくないですよね。
- 育休中や育休明けに退職を考えている
- 育休明けに転職をする予定で、退職に向けて準備をしている
こんな方にオススメの記事になっています。
この記事を読むと、自分が「育休中・育休明け(育休後)」に後悔しない退職の方法がわかるようになりますよ。
退職と同時に転職も検討している場合は、【保育園や退職理由は?】育休中の転職リスクと成功への3つのポイントもオススメです。
育休中・育休明けにすぐ「退職」は可能
育休中や育休明けすぐの退職は、「可能」です。
というのも、育休明けすぐの退職を制限する法律はありません、が正しい解答になります。
ただ、「退職」となると自分の生活への影響と、復帰を待っていた会社への影響の両方が引き起こされます。
- 育休「中」に退職したため、育休手当が停止された
- 復帰予定で決まっていた「保育園」が「内定取り消し」となった
- 退職予定日ギリギリに会社へ「退職の意志」を伝えたため、会社側で「退職手続き」と「人材確保」が急遽必要となり、更に迷惑をかけた
退職するにしても、失業保険の離職票の発行依頼など、最後まで会社側にお世話になることはたくさんあるんだよね。
こんなことにならないためにも、退職について真剣に考えるならば事前に準備をしておくことが必要です。
- 退職は自分の意思でいつでもできる。
- 周りへの配慮や、自分の生活への影響を考えた上で「時期やタイミング」を決定することが大切
育休明けすぐの「有給消化」│法律上は可能
退職にあたって「できるなら有給消化して退職がベスト」ですよね。
法律上は「退職前の有給消化」は可能
なぜなら、有給は労働者の権利として法律で守られているため、です。
また、有給については「退職日」が決定すると、会社側の持つ「時季変更権」が使えなくなります。
時季変更権とは、簡単に言うと会社側で「有給利用日」を変更する権利。
Q6 近く退職を控えた従業員が退職日までは残った有給休暇を全て使い、出勤しないと言い出しました。引継の問題もあり、大変困っていますが認めなくてはなりませんか。
A.年次有給休暇の請求があった場合、使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合でない限りその指定された日に休暇を与えなければなりません。
出典:厚生労働省 鹿児島労働局
このように、退職日前に「残有給数を全て消化して退職」することができます。
ただし、一度も復帰することなく有給消化を希望すると嫌がられる可能性は高いです。
法律上は問題ありませんが、待っていた会社側としては非常にイメージが悪くトラブルになる可能性も出てきます。
退職にあたって雇用保険などの手続きも会社側にやってもらわないといけないので、できれば円満に退職したいところ…。
有給消化も視野に入れるなら一旦復帰し、育児と仕事の両立に取り組んでみてから「やっぱり難しかった」のほうが会社としても納得のしやすいところです。
- 育休明けに有給消化をしてからの退職は法律上は可能だが、会社側とトラブルになる可能性もあるのでよくよく考えること
- 有給消化したければ、一度復帰する、ということも考えておくこと
育休手当は「復帰予定だった」なら返金は不要
育休中の退職や育休明けと同時に退職を考えた場合、有給の返金の可能性についても気になりますよね。
「復帰予定だった」なら返金は不要
なぜなら、復職予定だった場合は返金はしなくてもよい、と規定されているためです。
具体的には、厚生労働省の雇用保険制度(育児休業給付)ではこのように規定されています。
育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。
このため、育児休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば、育児休業給付金の対象となりません。
育児休業開始時点で退職が予定されている場合を除き、育児休業期間中に退職した場合は、その支給単位期間以降、支給対象となりませんが、それまで受給した育児休業給付を返金する必要はありません。
出典:厚生労働省 雇用保険制度 育児休業給付 Q&Aより
育休手当は復帰前提の給付のため、「復帰しない」ことが最初から決まっている場合は育休手当のそもそも対象外です。
そのため、最初から復帰するつもりがなければ受け取った育休手当の返金の可能性がでてきます。
「復帰前提」の育休手当は返金の必要なし
育休の途中で退職した場合、育休手当はいつまで支給される?
- 育休の途中で退職を決めた場合、育休手当はどうなる?
- 育休中でも退職日まで満額の育休手当はもらえる?
育休の途中の退職となると、「手当はいつまで支給されるのか」は大きな問題ですよね。
育休中の退職の場合、離職日の属する支給単位期間から育休手当は不支給
こちらについては、このように規定されています。
受給資格確認後に、退職する予定となり、退職した場合は、その退職日を含む支給単位期間の一つ前の支給機関単位までは支給対象となります(支給単位期間の末日で退職した場合は当該期間も含む)。
出典:厚生労働省 雇用保険制度 育児休業給付 Q&Aより
育休開始日が5月1日の場合。
最初の支給単位期間:5月1日~31日
次の支給単位期間:6月1日~30日
6月29日を退職日とした場合、「6月1日」以降の育休手当は不支給
この例だと、1日から28日までの分を切り捨てる形となります。
育休「中」の退職じゃなければ、育休手当は返金することなく満額支給になります。
- 育休期間の最中に「退職」した場合は、退職日の属する「支給単位期間以降」の育休手当は支給されない
- 育休明けと同時退職や一旦復帰した場合は、育休手当は満額支給される
退職後の失業保険│育児が理由の退職だと失業保険対象外
「育児が理由」だと、失業保険の給付金(基本手当)はもらえません。
厚生労働省の雇用保険制度(基本手当)では、このように規定されています。
失業保険の基本手当は、「働きたいのに働けない」という人のため、生活費を補填する意味での給付になります。
雇用保険(基本手当)を受給するためには、就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があり、積極的に求職活動を行ってるにもかかわらず、就職できない状態にあることが必要です。
このため、病気やけが、妊娠、出産、育児などですぐに就業に就くことができない方は、雇用保険(基本手当)を受けることができません。
厚生労働省 雇用保険制度(基本手当)Q&Aより
つまり、「就職する気がない」人は給付の対象外。
「育児」が理由の退職であれば、「育児のためすぐに働けない状態」ということになるので失業保険については対象外です。
給付には、すぐに働きたい人のに働けない!という状態が必要です
雇用保険(基本手当)を受けることができる期間は、離職日の翌日から1年間に限られており、これを受給期間といいますが、離職日の翌日から1年以内に30日以上継続して職業に就くことができない場合は、受給期間の延長申請を行うことで、本来の受給期間1年に働けない日数を加えることができ、職業に就くことができる状態になった後に、受給手続きができます。
ただし、受給期間(1年)に加えることができる期間は最大3年間です。
厚生労働省 雇用保険制度(基本手当)Q&Aより
受給期間の延長というのは、基本手当のもらえる期間が伸びるわけではなく、働けるようになるまで受給の権利を保留しておくという意味です。
働けるよう状態になったら、給付がもらえるようになる、ってことだね!
すぐに、失業保険の基本手当はもらえませんが、失業保険の給付権利を3年間延長することは可能(本来の受給期間1年+延長期間最長3年間:トータル最大で4年間)。
期間内に、働ける状態になってから給付金をもらう手続きができるようになる。
- 退職日の翌日から30日を経過したことを確認。受給期間中ならいつでも申請可能
- 最寄りのハローワークに必要書類を提出(受給期間延長申請書・離職票-2・延長理由を証明する書類)
郵送や代理人による申請もOK(要委任状)。
やっておいて損はないよね!
ただ、申請は早めにしないと満額もらえなくなることもあるので、30日経過後にすぐに申請しておいたほうが安心!
退職日はいつ?ベストなタイミング│一度復帰してから退職がベスト
失業保険で必要となる離職票の発行作業など、「退職の意思表示」後に会社側にやってもらうこともあるので、出来るだけ不誠実にならない形で「退職」したいですよね。
結論から言うと、一度は約束通り「復帰してから退職」という流れが一番ベスト。
なぜなら、「復帰前提」なのが育休取得要件だからです。
会社は当然「復帰」してくることを前提にしています。
「復職するという約束だったのに、約束を破られた」ということで会社とトラブルにはなりたくないですよね。
復職したけど駄目だった、と復職もしなかった、では与える印象も違う!
ただ、「やむを得ない理由」があるときには、育休中や育休明けすぐの退職も仕方ない…ということも。
育休中や育休明けすぐに退職を検討している場合は、退職理由については特に注意が必要になります。
退職しなければならない理由
育休中や明けに退職を決意した際、悩むのが「退職理由」。
みんなが納得して「仕方がないよね」と思ってくれると、退職する方としては少しホッとできますよね。
- 職場が遠くて保育園の呼び出し時にすぐ対応できない。
- 産休前と状況が変わり、ワンオペとなることで仕事との両立が厳しくなった。
- 自分が体調を崩してしまった
などの、具体的な理由を会社側に真摯に伝えることが重要です。
「仕事は続けたい」と思っていたが…という姿勢で伝えるほうが、相手も納得しやすいです。
また、一度復帰している状況と復帰せずに退職では、与える印象も大きく変わってくるので要注意です。
「約束通り復帰してみたけど、現状は難しかった」の方がまだ納得しやすいかも。
【保育園や退職理由は?】育休中の転職リスクと成功への3つのポイント
退職を伝えるタイミング│退職理由・退職日が決まったら早めに報告
退職の理由が決まったら、次は「退職を切り出すタイミング」です。
退職理由・退職日が決まったらすぐに上司に報告する
と、いうのも上司に報告後、上司から総務へ連絡…などと規模が大きくなるほど連絡する部署が増え時間もかかります。
スムーズに退職するためには意を決して報告!
また、就業規則で「退職の意思表示は、退職日の◯◯日前までに報告すること」などと規定していることもあります。
民法上では、退職の意志表示は退職2週間前でたりる、としていますが、多くの会社では就業規則で時期を定めています。
例えば、就業規則に「3ヶ月前までに」と規定があり、退職日を「育休終了と同時」にと考えている場合。
育休終了3ヶ月前までに上司に退職の意思表示を伝える必要があります。
就業規則で規定されている時期内に、かつ出来るだけ早めに上司に退職の意思表示をする
規定がなさそうだとしても、退職の1~2ヶ月前くらいには報告!
さすがに2週間前はひんしゅくの原因に!
退職のスケジュール・手続き
退職する意思が決まり、退職日や理由を上司に報告する準備が整えば、あとはスケジュールを立てて順番に実行していくことになります。
- 上司への報告(いつ退職するか・理由)と退職届の提出:1~2ヶ月前くらい
- 会社の備品等の返却(ロッカーの鍵など):退職日まで
- 健康保険証の返却(家族分もあれば全部):退職日まで
これが退職日までに自分で行っておくことです。
逆に会社から受け取るものもあります。
- 年金手帳(預けている場合のみ)
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証(預けている場合のみ)
- 離職票
転職しない場合は、このあと、税金や社会保険などの手続きを全部自分でする必要があります。その際に、退職証明書があると役立つ!
このように、「退職」となると会社でやってもらうことがたくさんあります。
これだけ準備があるなら、早めに連絡しないと退職日に間に合わせてもらうのは大変だね。
退職金がある場合は、就業年数に応じて退職金が支給されます。
しかし、育休期間は「就業年数にカウントしない」場合が大半です(就業規則に明記されています)。
退職後、転職する場合│保育園・社会保険・住民税・失業保険の手続き
退職後、いつ転職するのか、で大きく行動が変わるので「転職する予定」がある場合は注意が必要です。
退職翌日に出勤 | 退職から再就職まで日にちがあく場合 | |
---|---|---|
保育園 | 継続可能 | 認可保育園:退園の可能性あり 認可外保育園:継続可能 |
雇用保険(失業保険) | 転職先で手続き | 基本手当の受給を受ける・受給期間の延長申請 |
健康保険 | 転職先で手続き | 任意継続被保険者制度・国民健康保険・配偶者の扶養 |
住民税 | 転職先で手続き | 自動的に普通徴収に変更される |
年金 | 転職先で手続き | 国民年金・配偶者の扶養 |
保育園については、転職先が決まる前に退職した場合、「休職中」として猶予がもらえるケースもあるよ。
猶予期間は自治体で違う(1ヶ月や3ヶ月など)ので退職前に要確認
転職で収入の維持をしながら育児と両立をはかりたい、という場合は【転職初心者向け】育休明けの転職を成功に導く転職活動の始め方の記事がオススメです。
転職後に育休取得を考えるなら、雇用保険(失業手当)の利用は要注意
無事に転職ができれば二人目も考えたい!と考えているなら、退職後に失業保険の給付を受けることで「育休」の取得が難しくなるケースがあるので要注意です!!
失業保険の基本手当を受給することで、育休手当の給付要件を満たさなくなる可能性があるからです。
詳しくは、こちらの記事【実例】転職後、1年未満で産休・育休!計画的に最短で取得する方法に書いてありますので、確認した上で受給してくださいね!
退職後、しばらく育児に専念する場合
退職後は、しばらく育児に専念することにした場合、必要な手続きはどんなものがあるのか、なかなかわからないですよね。
- 失業保険の受給期間延長申請
- 住民税(自動で普通徴収に切り替わります)
- 年金の切り替え:国民年金か配偶者の扶養にはいる、のいずれか
- 健康保険の切り替え:任意継続被保険者制度・国民健康保険・配偶者の扶養にはいる、のいずれか
これらについて手続きが必要になります。
また、育休後復帰に向けて決まっていた認可保育園については、「決定取り消し」となる自治体がほとんどです。
(体験談)育休明け3ヶ月で後悔しない退職のために取り組んだこと
育休明けに退職を選択する理由は、色々ありますよね。
私の場合は、フルタイムで復帰して育児との両立をバリバリする予定でしたが、予期せぬマミートラックをきっかけに退職を決意しました。
「働かずに家にいる」という選択肢もなかったので、すぐに転職活動を開始。
- 入園している保育園をキャンセルにしたくない
- 自分のキャリアの中断は考えられない
- 二人目以降も欲しいので、育休再取得も考えている
育休から復帰したあとに、「やっぱり退職(転職))したい」と思った方には、特に参考になると思います。
前の職場では就業規則を開示してもらえなかったよ。
他の人は民法の規定で2週間で退職している人もいたけど、「有給消化」もしたかったので2ヶ月前に上司に報告。
残有給数については、保育園の呼び出しに備えて復帰後すぐに確認しておいたので、そこから残数を計算。
- 職場が遠くて保育園の送迎に間に合わないこと(主に迎え)
- 呼び出しの際にすぐにかけつけられないので、子供の緊急時に対応できないこと
この2点を理由として、上司に「退職」について報告。
予定としては2ヶ月後。
復帰後、実際に保育園からの呼び出しや発熱で保育園に行けない日も多々あったので、上司は理解してくれました。
同僚や先輩たちも子育て経験のある人は「遠い保育園は不便、仕方ないね」とのことでした。
直接、文句を言われたりすることはありませんでしたが、役職者の方にはよく思われなかったようでした。
有給消化についても、この時点で上司に打診。
度々の保育園からの呼び出しもあり、出勤自体もできたりできなかったりということもあったので、わりとスムーズに有給消化についても受け入れてもらえました。
自分でやったのは退職届の提出だけ。
後は、事務の方で源泉徴収票などの手続きはやってくれました。
有給消化後、転職先が決まっていたので転職先へ出勤。
- 離職票
- 年金手帳
- 通帳、印鑑
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
退職時にもらった書類関係はそのまま転職先へ提出となりました。
税金や年金等の手続きは全部、新しい退職先でやってくれたので、特に何もすることなし。
「退職」と「転職」はセットになることも多いです。
転職情報も整理した上で「退職」へ望むと、あとで「失敗した!」と思うことがなくなりますよ。
まとめ
育休中や育休明けに「退職」する、となると計画的に準備する必要があります。
- 職場復帰は難しいのか
- 退職後に転職するのか
まずは、これを決めてから「退職」へ向けて具体的に行動していく必要があります。
★退職日:復帰後が一番ベスト。
- 育休中の退職なら、育休手当満額支給は諦める(日割り計算されないので注意)。
- 育休明けすぐなら有給消化は諦める(法律上は請求可能)などの妥協が必要
★退職の意思表示:就業規則の期限内(なければ退職日の1~2ヶ月前)にする。
★退職理由:嘘はつかず真摯に伝える。「保育園と会社が遠くて緊急時の対応が難しい」など、やむを得ない理由だと納得してもらいやすい。
子育てしていると本来の予定とは違った!と思うことが多々出てきます。
退職や転職についても、その一つ。
自分と子どもにとって「これで良かった!」と思える選択をしてくださいね!
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