- 育休明けはパートになりたい!と正社員からパートで復帰することを考えている
- 会社の方から「パートで復帰してはどうか」と打診された
育休明けというタイミングで、「パート」という働き方について考えていませんか?
「パート」というと、責任が軽い・定時で帰れる、なんていうイメージはあるものの、他に自分にどんな影響があるのか、わかりにくいですよね。
そこで、育休明けに「パート」へ雇用形態を変更するにあたって「損をしない選択」をする方法についてまとめてみました。
重要なのは、正社員からパートに変更した場合、自分の待遇がどのように変更されるか理解しておくこと、です。
育休明けにパートへの変更を会社から申し入れされた経験があるよ。調べると私には不利な面も多かったので、不利にならないよう解説!
この記事でわかること
- 扶養の対象者と扶養に入ることのデメリットやメリット
- パートと時短勤務との違い
- パートの場合の保育園入園の現状
- 会社から一方的にパートへ変更されそうな際の対応の仕方
この記事を読むことで、パートという働き方がよくわかり、損することなくパートで復帰する方法について理解が深まりますよ。
正社員からパートになりたい(パートで復帰)と希望を出すことは可能
- フルタイム勤務では保育園の送迎に間に合わない
- 時間外が多い職場なのでパートで定時に上がりたい
- 久しぶりの仕事なんで、責任のある重たい仕事はしたくない
など、色々な理由があって「パート復帰」を検討している方は多いですよね。
自分の希望で、育休復帰時に正社員からパートへ変更することは問題なし
と、いうのも、本人が望む場合、正社員からパートへの雇用形態の切り替えをしてはならない、という法律的な縛りはありません。
そのため、会社との協議で雇用形態を変更することは問題ありません。
- フルタイムから週5日、勤務時間は5時間に変える
- 月・水・金の曜日だけ出勤、勤務時間は6時間以内
など、融通のつきやすい勤務形態にできるのがパートのメリット。
ただ、正社員と異なりパートという働き方は、仕事内容や待遇が大きく変わってきます。
時短復帰(正社員)のほうがいいケースもあるので、よく考えて決めた方がいいね!
育休明けは看護休暇や時間外の禁止といった公的制度もたくさんあります。
パートのほうが良いのか、正社員(時短)のほうがよいのかもよく検討してくださいね!
公的制度についてはこちらで詳しく解説→【育休明けは時短勤務?フルタイム?】自分にあった復帰方法の決め方
同意のないパートへの変更は、法律上違法とされる可能性が高い
- 復帰時は時短制度がないのでパートと言われた
- 会社からパートのほうがいいんじゃない?と打診された
このように言われると「復帰はパートしかないのかな」なんて思いこんでしまいますよね。
時短勤務制度がないと言われても、時短勤務制度に代わる代替措置がとれます
と、いうのも本来「時短勤務制度の設置は事業者の義務」だからです。
- 育休制度に準ずる措置
- フレックスタイム制度
- 時差出勤制度
- 3歳未満の子に対する保育園に係る便宜
時短勤務制度が取れない場合は、これらの4つのうちの1つを代替措置として会社は準備しなければなりません。
参考:育児介護休業法のあらまし 厚生労働省 都道府県労働局雇用均等室
時短勤務制度や代替措置の利用の仕方などの詳細はこちらで解説!→【育休明けは時短勤務?フルタイム?】自分にあった復帰方法の決め方
ただ、現状として「降格」の話を出す時点で「育児と仕事の両立支援に協力的な職場ではない」可能性が高いです。
私もはじめての育休のときは、復帰時に時短の話ではなく「パートへの降格」の話だったよ。
労働基準監督署に相談などの手もありますが、それこそ育児と家事の合間にできる時間はありません。
そこで、育休中の時間のあるうちに「転職」についても検討しておくことをオススメします。
育休中から準備しておくことで、自分にあった働き方や育児との両立を目指した転職もできるようになりますよ。
転職についてはこちらの記事がオススメ→【転職初心者向け】育休明けの転職を成功に導く転職活動の始め方
パートと正社員(時短勤務)の違い
時短もパートも働く時間帯はあまり変わらないなら、責任も軽くて休みの取りやすい「パート」の方がいいかも?
と、復帰時はパートのメリットに目がいきがち。
正社員で時短勤務制度を利用するのと、パートで働くのとでは、自分の待遇が大きく変わります。
一番の違いは、雇用の安定です。
なぜなら、正社員は無期雇用であるのに対し、パートの場合は有期雇用になるから、です。
パートでも無期雇用へ転換することはできるよ。
無期転換ルールとは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのことです。
出典:厚生労働省 無期転換ルールについて
時短勤務制度を利用した正社員の場合は、雇い止めリスクがない分、安心して働くことができますよね。
時短勤務制度のメリット・デメリットはこちらで解説→【育休明けは時短勤務?フルタイム?】自分にあった復帰方法の決め方
他にも、正社員(時短勤務)とパートの場合の違いは、おおまかにこんなものがあります。
パート | 時短(正社員) | |
区分 | 非正規の直接雇用 | 正規の直接雇用 |
雇用期間 | 有期(無期も可能)雇用 | 無期雇用 |
勤務時間 | パートタイム | 1日6時間までの短縮 |
給与 | 時給 | 月給から働いていない分を控除 |
各種手当 | 対象外が大半 | 規定通り |
福利厚生 | 対象外が大半 | 規定通り |
退職金・ボーナス | 対象外が大半 | 規定通り |
勤務時間や勤務日を自由に設定しやすい「パート」という働き方ですが、自分の身分保障ではかなり弱い働き方となります。
次の章では、パートへの変更で生じるデメリットとメリットについて解説していきます。
パート変更によるデメリット・メリット
「パート」という働き方の区分が変わることで、自分の身分以外にも色々と影響がでます。
前の章でお伝えした有期雇用による雇い止めリスクは一番のデメリットです。
しかし、他にも変更に伴うデメリット・メリットがあります。
メリット | デメリット | |
給与 | なし | 2月・5月など労働日がすくないと給与も減る |
産休 | ◯ | 健康保険に未加入だと、出産手当金がもらえない |
育休 | ◯ (条件あり) | 育休手当は雇用保険未加入だともらえない |
昇進 | なし | 評価対象外が多い |
スキルアップ | なし | 機会が減ることが多い |
業務内容 | 時間がかかるものは任されないことが多い | 重要なものは任せてもらえないことが多い |
産休・育休手当の詳細は、こちらで解説→【実例】転職後、1年未満で産休・育休!計画的に最短で取得する方法
仕事という部分では、パートという働き方は少し不利な部分が大きいことがわかると思います。
メリット | デメリット | |
保育園送迎 | ◎ | なし |
時間的余裕 | ◯ | なし |
保育園行事の参加しやすさ | ◎ | なし |
家族との時間 | ◎ | なし |
見方を変えて「家庭」という側面からみると、メリットが多いのがわかりますね。
仕事面ではデメリットが多く、家庭面でメリットが多いのが「パート」という働き方
復帰後、産休・育休手当をもらうには、色んな条件をクリアする必要があります。詳しくはこちらで解説→【実例】転職後、1年未満で産休・育休!計画的に最短で取得する方法
次の章では扶養や社会保険、保育園入園などについて解説していきます。
2種類の扶養と年収制限
パートという働き方は自分で働く日数や時間などが選択でき、融通のつけやすい働き方ですよね。
自分でコントロールできる分、「扶養」にも入るという選択肢もあります。
扶養という制度をうまく活用するには、年収106万円から130万円という働き方は最も損をするので避ける。
なぜなら、年収106万円からは会社によっては社会保険加入となる可能性があるからです。
社会保険料を納める可能性があるので手取りが減るかも…
扶養と一言で言っても、2パターンの意味があり、それぞれ年収の壁も異なっています。
- 税制上の扶養(配偶者控除が受けられる上限が年収103万円)
- 社会保険上の扶養(社会保険の扶養にはいれる上限が年収130万円)
年収130万円から社会保険加入なのに、なんで年収106万円から損するの?
社会保険には、年収130万円未満でも5つの条件すべてを満たすと加入できる要件があるよ。そのひとつに年収106万円が関わってくるよ!
社会保険加入には、加入条件が5つあります。これらすべてをみたすと社会保険加入が義務化されます。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(月額8.8万円×12ヶ月=年額105.6万円)
- 2ヶ月を超える雇用の見込み
- 学生ではない
- 従業員数101人以上の勤め先(2022年10月~)※下図参照
5つの条件のうち「4つの条件は満たすが会社規模が基準に満たないという理由で社会保険未加入」の場合、今回の緩和により「社会保険加入対象者」となる可能性があります。
年収130万円未満ギリギリでも会社要件が不該当で社会保険に入らなくてよかった人が、今回の緩和により社会保険加入が義務付けられる可能性があるよ。
今までは、会社規模が501名を超える大規模な会社勤務者だけが社会保険に加入できていました。
社会保険に加入できる会社規模の範囲を拡大することで、5つのうち4つを満たしている職員が社会保険に入れるようになった、ということです。
社会保険の扶養は、年収106万円を超えると加入義務が発生する可能性があるため、損をする(手取りが減少)リスクあり
税制上の扶養と年収の関係については、103万円のほかに150万円・201万円があります。
自分の年収 | 税制上の扶養 |
---|---|
103万円 | 配偶者が配偶者控除を満額(38万円)受けられる上限。 |
150万円 | 配偶者が配偶者特別控除を満額(最高38万円)受けられる上限。自分の年収があがると控除額は減少。 |
201万円 | 配偶者が配偶者特別控除を受けられる上限。 |
税制上の扶養における年収制限と、社会保険上の扶養における年収制限を総合して、自分の年収の上限額を決める必要があります。
扶養に入るデメリット・メリット
扶養における年収条件はわかったけど、結局「扶養」に入ると「手取りが増える」ほかにどんな恩恵があるの?
扶養という制度は「手取り」を増やす以外にも、恩恵を受けることができます。
給与収入が年間103万円以下の場合
- 自分の所得税を0円に抑えることができるため、手取り額が減らない
- 配偶者は配偶者控除が適用となり、配偶者の所得税も抑えることができる
- 社会保険料(厚生年金保険料+健康保険保険料)の負担がないため、手取り額が増える
- 年金保険料を負担しなくても、国民年金に加入できる
- 健康保険料を負担しなくても、健康保険に加入できる
保険料の負担なく、年金や健康保険に加入できるというのは扶養ならではのメリットですね。
逆に扶養に入ることで生じるデメリットは、2つあります。
- 収入制限があるため、収入を増やすことができない
- 将来の年金額が少ない(老齢基礎年金のみ)
今の収入(手取り)は増えるけど、将来保証がちょっと不安
ただ、こちらのデメリットも育児が落ち着いてから働き方を変える、などで対応することは十分可能です!
扶養に入る際は、メリット・デメリットを踏まえた上で利用しましょう。
社会保険加入のメリット
扶養だと全然稼げないから、もう少し稼ぎたい。でも、保険料が高いからやっぱり扶養にしたほうがいいのかな?
育休中は社会保険料が免除されていますが、被保険者となっています。
パート後も扶養に入らずに働く場合、社会保険料の出費は大きいですよね。
二人目も考えているなら、出産手当金支給のため社会保険加入しておいたほうが良い
というのも、一部の給付は本人が社会保険に加入していないと支給されないから、です。
- 傷病手当金
- 出産手当金
こちらについては、本人が加入していない場合支給されません。
出産手当金とは、産前6週間・産後8週間の仕事を休んでいる期間に支給される給付だよ。
パートでも産休には入れます。
二人目を考えているのであれば「出産手当金」についても考えた上で、社会保険に加入するかどうか判断することをオススメします!
- 将来の年金が増える(基礎年金部分+報酬比例部分)
- 加入中に障害となった場合、障害基礎年金+障害厚生年金と保証が厚くなる(障害手当も対象)
- 遺族年金も上乗せされる(遺族基礎年金+遺族厚生年金)
- 傷病手当金、出産手当金が支給される
保育園入園が不利になる可能性
勤務日や勤務日数・勤務時間は、パートなら少ない日数・短い勤務時間に調整しやすい反面、認可保育園には入れない可能性が高い
というのも、就労時間の短さから入園基準点数を満たせないから、です。
これは、パートという働き方が原因ではなく、就労時間の短さ、がネックとなっています。
「就労時間」における基準指数はフルタイムを最高点とし、それ以下は就労時間別に減点されていきます。
保育園入園だけでみると、フルタイムパートは強い!
認可保育園の選考は、各自治体が定めた基準にのっとった点数制です。
両親の就労などの「保育にかける理由」による点数(基準指数)、兄弟姉妹が保育園に在園している、などの調整点数(調整指数)との合算により決定されます。
同点の場合、優先される順位なども規定されてるよ。
認可保育園の入園にパート(フルタイム除く)は不利。復帰には、無認可保育園など確実に入れるところの確保が必要。
もし入れても、申請時と復帰時の就労時間が違うと、入園できても「退園」という判断をする自治体もあるから要注意!
保育園の入園は「育休の復帰日」を決定する上で重要。復帰日については、【育休から早めに復帰】いつがベスト?失敗しない復帰日の決め方で詳細を確認してください。
有給は勤続年数を通年して付与
パートになったときの「有給」の扱いってどのように変わるか、気になりますよね。
- パートでも有給は付与される
- 労働日数により、付与される有給日数は異なる
- 育休前の有給は消滅時効(2年)にかかるまでは、復帰後も利用できる
厚生労働省では、有給の付与についてこのように述べています。
パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者についても年次有給暇は付与されます。
出典:厚生労働省 労働基準行政全般に関するF&Q
パートの場合、週所定労働日数4日以下、かつ週所定労働時間が30時間未満という働き方の場合は「比例付与」という形で有給がつきます。
継続勤務期間 | 週4日勤務 | 週3日勤務 | 週2日勤務 | 週1日勤務 |
0.5年 | 7日 | 5日 | 3日 | 1日 |
1.5年 | 8日 | 6日 | 4日 | 2日 |
2.5年 | 9日 | 6日 | 4日 | 2日 |
3.5年 | 10日 | 8日 | 5日 | 2日 |
4.5年 | 12日 | 9日 | 6日 | 3日 |
5.5年 | 13日 | 10日 | 6日 | 3日 |
6.5年以上 | 15日 | 11日 | 7日 | 3日 |
継続勤務期間は雇入れ日から数るよ、つまり勤続年数は通年できるってこと。
パートでも週所定労働時間が30時間以上、週所定労働日数が5日以上の場合、パートでも正社員と同様の日数付与されます。
雇入れの日から起算した勤続期間 | 付与日数 |
6ヶ月 | 10日 |
1年6ヶ月 | 11日 |
2年6ヶ月 | 12日 |
3年6ヶ月 | 14日 |
4年6ヶ月 | 16日 |
5年6ヶ月 | 18日 |
6年6ヶ月以上 | 20日 |
また、育休中に有給休暇の基準日が到来した場合、通常通りの有給数が発生します。
産休・育休中は、有給取得要件の8割以上の出勤率については、「出勤したもの」とみなされるよ!
まとめ
職場復帰時には「パート」という働き方で、育児との両立をはかることは可能です。
ただ、正社員時代と比べるとデメリットもかなり多いのが現状です。
- パートではなく時短勤務制度を利用しての復帰は難しいのか
- パートとなるとしたら、週に何日間働き、1日の労働時間はどれくらいにするのか(扶養にはいるかどうか)
- 保育園は入園できるのか(認可外保育園の確保)
- クリアが難しければ転職も育休中から検討する
これらを考えた上で「パート」復帰すると、「知らなくて損した!」と「パート」になったことをあとから後悔せずにすみます。
パートというのは、働く時間や日にちなど融通がつきやすく、家庭をメインにして働くにはぴったりの働き方。
デメリットへの対策をしっかりした上で、自分の方向性を決めてくださいね!
パートと時短勤務で悩んでる場合は【育休明けは時短勤務?フルタイム?】自分にあった復帰方法の決め方もオススメ
復帰後の給与や税金などのお金については、【育休復帰後の社会保険料や税金】育休明け最初の給料が少ない理由・【育休明けの住民税はいくら?保育料は?】育休明けの住民税が0円となる理由で解説。
転職についても知りたい人は、こちらもオススメ→【体験談】復帰?転職?育休中に復帰後の働き方を見直す4ステップ
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